ライトの  Ｆａｌｌｉｎｇ　Ｗａｔｅｒ（落水荘1936）以後の 後期の住宅は、前期のプレーリー住宅(草原住宅)と区別してユソニアン住宅と総称されますが、その中でも特に、ライトは新しい手法によって造った一般的な 家族のための手ごろな価格のコンパクトで魅力に満ちた小住宅郡をユソニアンハウスと名づけています。1936～1943に、Lusk 邸（1936）で最初に計画され、Jacobs 邸（1937）で初めて実現し、58あまりが建築されました。

それぞれの家は敷地の性質と施主の要求にあわせて設計されましたが、共通のディテールと工法、次ページに述べる特徴が繰り返し用いられていて、それはもっと予 算をかけた特別な住宅にも共通して使われました。ライトはこれをGrammar(文法）と呼びました。
ユソニアンハウスは革新的な工法であったため、多くの家は、ライトの3年目以上の弟子がタリアセン（アリゾナとウィスコンシンにあるライトの工房）か ら派遣され現場に常駐して施主の直営方式として建てられるか、またはユソニアンハウスの建築に慣れたハロルド・ターナーらのマスタービルダーにより建てられました。
　

箱型の慣習的な住宅の工法にとらわれず自由に造られたこれらの住宅は、建てられてから半世紀以上の時間を経た現在もなお魅力に満ちています。ユソニアンハウスは、いまだに一般には実現していない未来に属する究極の住宅と言えるでしょう。