2. ブロードエーカーシティー模型の解説
 -ブロードエーカーシティーの中にあるもの-
      出典 「THE LIVING CITY 」   by Frank Lloyd Wright

2-1 模型の解説 郡庁舎
                                                          1.郡庁舎
マリン郡庁舎 カリフォルニア州サンラファエロ(1957)

典型的な通り。 シビック・センター、 新しいタイプの垂直ボディーの自動車とヘリコプター・タクシーが飛ぶ。 通りの縁石には照明が1つおきに交互に向き合って配されている。
右手遠くには宗派別合同の教会堂、 オフィスとアパートが入るタワーが見える。
 
2-2模型の解説 ブロードエーカーシティーの交通


















典型的なブロードエーカーの地方の風景
 耕作地のパターンと良い建物が溶け合う。
 ヘリコプターが前景と遠くに見える。
 道の立体交差は連続した途切れない4面交通を可能にする。









2-3 模型の解説 小農場




8.小農場耐火の多目的(汎用)住戸(units) 

 「私たちの国の暮らしの中の市民の農業という役割のために、ブロードエーカーシティーにおいて農業者はどのような建物を持つべきだろうか。
 現在の農業者はもっとも過酷な形の負債に苦しめられ絶望のふちに追いやられている。
大勢を養うためには、温室を使うなど小さい土地でできるだけ多様な、集約農法(intensive farming)を行うことに大きな社会の利点があるだろう。
 西部の膨大な穀倉地帯や牛肉生産と対抗することはなくなる。仲買人がいなくなり、ついに生産物が生産者から消費者に直接渡るということが市民の大きな利点となる。 酪農製品、果物、野菜、新鮮な肉、鶏肉、卵など新鮮さが第一条件のものは、社会に対する直接の貢献となる。 

農場のための住居、ウィリー邸 第1案1932

2-4
模型の解説
   マーケット、ガソリンスステーション

13. 雑貨店(general merchandizing)、(食料品)市場(market)


ロードサイド・マーケットのスケッチ 素晴らしい広々とした道路沿いの楽しい場所であるこれらの市場は、自由自在なパビリオンのように幅広く形のよく立ち上がる。
 物品ばかりでなく文化施設も含み協同で運営される交換の場所として考えられている。
商取引は異なった性格のものになる。リビングシティーに相応しくあらゆる生産物の商品展示と販売が統合される。



50.ガソリンステーション
「私達の現在のガソリンサービスステーションに、そのような重要な分散化の進歩の素朴な始まりを見ることができます。そして私達が今、自由都市を呼ぶ未来の人間的な施設の始まりを見ます。」
 1930年に、ライトは舗装されていない道に沿って頻繁に置かれたガソリンスタンドのみすぼらしい小屋に目を向けました - 駐車場に囲まれた倉庫とあまり変わらない投機的なドライブイン・ショッピングセンター- それは、ロサンゼルスの南西と周辺に出現していました









2-5 模型の解説 
1エーカーの土地とユソニアンハウス

 ブロードエーカー・シティでは、すべての人に
1人、1エーカー(約1235坪)の土地がそこを使うか住む場合、生来の権利として与えられる。
 作った農産物はマーケットから毎日、売値の半値で取りに来てくれる。農本主義が工業と両立する。
 
 地主や店子、小作人はいなくなる。
今まであったような都市の雇用、最低限住宅や公営住宅、スラムや価値のない人はなくなる。 
貧困は廃絶される。
われわれは人間と土地とのこの文明 ─真に有機的である農耕社会─ を民主主義と呼ぶ



ジェファーソン(第三代大統領)は、独立自営農民こそ民主主義の基盤と考えた。(ジェファソニアン・デモクラシー)
ジェファーソンは政治と経済の専政から庶民を守ることをその哲学とし、特に小農を「最も価値ある市民」と称賛した。 財産のおよその平等こそが自由と徳と共和政府の重要な安全装置として重要であり、都市を、贅沢と従属、銀行家と投機家と地主たちの浪費の本拠地で各人の財産を不平等化してしまうものと見ていた。
 同じ位重要なのは、ウィスコンシン州のラフィレット州知事とプログレッシブ党による革新政治がライトに与えた影響である。
 彼らはルーズベルトのニューディール政策に先駆けて進歩的な法制の整備を進め、ウィスコンシン州は民主主義の実験室と呼ばれた。
1934年のProgressive党の綱領は、「銀行の資本主義」と呼ばれた膨大な企業の利益と産業企業により支配された世界から、広く支持された民主主義のアメリカ憲法の根本的な理想を回復するように意図されていた。 そこには、人々が自分たちの家、自分たちの農場、および自分たちの働く場所を持つ権利を支持し、企業や不在者の権利に対して反対すること、そしてエネルギー供給、ごみ処理、通信(ラジオ、電話、郵便)、公衆と大量の交通、および流通貨幣を含む公共のために必要なすべての事業を公的所有することがうたわれている 。


23.小住宅
Typical Cottage for level ground (prefabrication)
Typical Home for  sloping ground ( Affleck House 1940)
ユソニアンコンクリートブロック住宅

2-6模型の解説
集合住宅、モーテル

40. 集合住居
 「高い建物は? 禁じるわけではない。田園の緑地公園の敷地の中に孤立して建つものはある。共同アパート住宅は、田園の美しさを味わいたいと願っているがそれを造ることに参加したり運営したりすることはできない閉じこもっている訓練されていない都会人のために建てられる。
 アパート住宅は、もはやカーテンウォールとしてガラスの階を重ねたものではない。花、蔦で飾られたバルコニーが水平に広がる。」


Cornelia with the St.Marks Tower(1929)model as part of the Broadacre installation,Summer 1935。
 1921年に最初に設計され、1955年 Price Towerとして実現した。

14.モーテル(Automobile inn)

 「旅行者が宿泊するための瀟洒なモーテルがもっと現れ、連続する旅を楽しく快適なものにするだろう。これは文化的な出来事ではなかろうか。」

Motor Hotel, 道路側と庭側
パブリックの大きなユニットに客室の個別のユニットがつながる。
 
水上のリゾート Barge“Fallen Leaf”, Bage for two
Project:  Lake Tahoe Summer Colony (1922)



2-7模型の解説 
教育、円形競技場、自動車目標地
   タリアセンフェローシップの建物群 (1932)
ライトの叔母たちのヒルサイドホームスクールを改造して作られた。
                                     Wyoming valley school (1956)


                                       URBAN SECTION  B.
郡のお祭りや他のページェントのためのスタジアムと円形競技場。 
短期滞在者のためのモーテルがその向こうに見える。左上方にシビック・センター、右方にサナトリウム。  ポールは行事を知らせる。

       Pittsburg point park civic center
 (1935-1947)
 落水荘(1936)の施主であるカウフマンの依頼によりピッツバーグ市のために計画された。カウフマンはブロードエーカーシティーの模型製作のための資金も提供している。









URBAN SECTION  A
 シビック・センターとその隣の湖と公園のながめ。右手と中央に各1エーカーの農園(ブロードエーカーシティーの模型)

                     
                                   Beth Sholom Synagogue(1954)            
                                                  Price Tower (1956)
                           


新しい自動車のデザイン。 2つの大きな車輪の間に垂直のボディーがバランスを取る。舵棒で方向を取る。動力は後方の動力源から直に大きな車輪に伝わる。燃料とエンジンが重心を確保する。球形の前輪が安定性と小さな回転半径を確実にする。(タクシーの場合、運転者は上に行き乗客は2人になる。)
ヘリコプター 
 きちんと飛行できるヘリコプターが最初に飛行したのは、 1937年ベルリンで開発されたハインリッヒ・フォッケによるFocke-WolfFw61であった。























この複合の農場建築は自動車の保管場所、快適な住まい、温室、箱詰めと出荷の場所、サイロ、牛と馬のきゅう舎、羊や豚など様々な家畜のための小屋からなる組み立てられたプレハブのユニットとしてできている。 
 よくデザインされた農場の暮らしは5,10、乃至は40エーカーの農場群でグループを作りすべての建物や設備はハイウェイや毎時間ごとに新鮮な農産物を売る市場と関係付けてデザインされる。これはただ農業者に対する支援以上のものである。これは広い意味において、私たちに与えられた偉大な大地という莫大なものに根元的な、民主主義の経済の真の機能である。
 同様に大事なのはその小さい農業市場そのものの設計である。この市場は、自由都市のハイウェイの内部の道路沿いにあって、その他の多くの使われ方に加えて都市の祝祭の社会的要素が融合している。」 

ウィリー邸 第2案 1933 プレーリーハウスからユソニアンハウスへの変遷の狭間にある住宅と言われている。

URBAN SECTION  D.  ロードサイドマーケット 織り目模様のブロックの塊は将来の世代のために保管される森の区域を示す。森から取れるものは共同体で分配される。 土地は人口の成長に応じて開墾されるために取っておかれる










                 Overhead Servise Station
R.W. Lindholm Service Station (1956)

    
Co-operative Homestead for Detroit Auto Workers (1942)
21.葡萄畑と果樹園

Usonia Ⅱ Okemos, East Lansing 、Michigan 8 houses on 40 acres (Goetsch-Winkler House 1939)だけが実現した。

地域全体を治める核となる原理を含んでいるものとして、ライトの関心は、経済や社会の問題よりも、社会の基本単位である家庭にあった。従ってライトの建物のデザインは、好意を持ったある施主のためのデザインというよりも、ライトがユソニアと呼んだ、アメリカのフロンティアの価値を具体化するブロードエーカー社会のプロトタイプとしてだった






Section D
  左上に、葡萄畑と果樹園、その右側には1エーカーの土地付の住宅と学校、左中央にはモーテルとその上方に専門医のクリニック、中央にマーケット、右中段に音楽庭園,左方手前に労働者の家が見える。
















43.タリアセン(と同じようなもの) 
44.工芸・郡建築家  デザイン・センター 
 ユニバーシティーと連携して環境のデザインや工業デザインの実験的仕事を行う。ユニバーシティーと実社会をつなぐアルコーブである。 
お金が価値観でない社会。
「美はモラル(道徳 倫理)の最も高い形である。 私は皆さんに、Mr.Wrightの最大の寄与の一つは、シンプルに、私たちは何であれ、コミュニティーを設計するとき、建物を作るとき、家具を調えるとき、キッチンで調理するとき、テーブルをしつらえ花を活けるときにせよ、あらゆることにおいて美しい環境を作るよう努力しなければならないということだったということを残したいと思います。
 タリアセンのアプレンティスたちは美しさと優美さがmanner(作法、物腰)、服装、動作、話し方など生活のあらゆる面で表現されるよう留意されました。人の性質は生活の全ての瞬間が美しくできるものとは限りませんが、しかしMr.Wrightはそれを人の最上の目標と見ていました。ブロードエーカーシティーは社会の全ての個人にSpace(場所)とAir(大気)と美を与えるよう計画されたのです。」 Corneria Brierly ( interview by John Meunier)

51.教育センター
ユニバーシティー :自然探求を通じ社会の指導的役割をになう。 正直な根本主義者の勇気を持ち、社会のビジョンとして、そして自然の有機的法則の深い研究のマスターとして機能する。 科学者、芸術家、哲学者、建築家、詩人、政治家 それぞれの分野で選ばれたthe Father Confessorと呼ばれるリーダーが指導的な役割を果たす。ユニバーシティーは大きくするべきでない。資格があるものが選び選ばれる。

24.Schools   学校は模型の中心にあり重要なものとされている。学校は25人ぐらいの少人数に分割される。
 「明瞭な目を持って自然のパターンを観察それを上手に描くことを学ぶことはある能力を目覚めさせる。
さらに重要なのは全ての自然の構造の抽象の勉強:私たちが抽象と呼ぶ基本的な構成の研究である。
この種の研究は外見の下にある性質の重要なパターンに達し、若い世代のデザインする能力が育つのを刺激し、
それは自由都市の特質になる。」
 「若者の能力の完全な調和が教育の最も重要な特徴になる。 目と手、身体と心、私たちが魂〔精神)
と呼ぶものが大自然に対し敏感になり、その内包するリズムがわかるようになる。全く統合された存在が現れる。」
   




31.円形競技場(circus)
31A.大陸の失われた部族へのトーテム像と立標(beacon)

















48.自動車目標地(Objective 
遠くから見えて自動車で行く目標となる場所(ランドマーク)。 下方左より、集合住宅,タリアセンのようなもの, 自動車目標地(ゴードン・ストロング・プラネタリウム1924)、右側中ほどには全宗教の礼拝所が見える。 模型の側面には1エーカー = 165 x 264 のグリッドが刻まれている


               Guggenheim Museum(1956)